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感触・触覚試験とは、製品に触れたときに生じる「やわらかい」「なめらか」「あたたかい」などの感覚を、評価・分析するための手法です。触感は主観的な印象でありながら、その背景には摩擦、圧縮、曲げなどの物理特性が存在します。感触・触覚試験は、こうした感覚と物性の関係を整理し、製品設計や品質管理に活かすための重要なアプローチです。
機能や価格だけでなく、「触れたときの印象」は製品選択に影響を与える重要な要素の一つとなりつつあります。衣料品の着心地、化粧品の塗布感、自動車内装の質感など、触感はブランドイメージと直結します。わずかな触感差が、製品の高級感や信頼感に大きな影響を与えることも少なくありません。
従来、感触は熟練者やパネルによる官能評価で判断されることが一般的でした。しかし、主観評価は評価者の経験や体調などの影響を受けやすく、手法次第ではばらつきが生じるリスクがあります。また、海外拠点との間で評価基準が一致しないケースが発生する場合もあります。
感触を物理特性として数値化することで、開発部門・品質管理部門・海外拠点間で共通の基準を持つことが可能になります。データに基づく評価は、再現性のある意思決定を支え、組織内の合意形成を円滑にします。
官能評価は、人が実際に触れて感じた印象をスコア化する方法です。実使用に近い感覚を直接評価できる一方で、評価者の主観に依存するという特性があります。適切な評価設計や統計処理が重要です。
摩擦特性、圧縮特性、曲げ特性などを試験機で測定し、触感の要素を物理量として把握する方法です。客観性と再現性に優れ、製品設計や品質管理において安定した指標となります。
KES®(Kawabata Evaluation System®)は、京都大学工学部 川端季雄教授とカトーテックにより開発された風合い計測システムです。布などのやわらかい材料の引張り、曲げ、せん断、圧縮、表面特性を高感度に測定し、はり・こし・ぬめり・しゃりなどの風合いを定量化することができます。繊維業界から始まり、現在では、化粧品・自動車・日用品など、人が触れるものを中心にさまざまな触感評価の基盤技術として活用されています。
TEXTUREVAL™(テクスチャーヴァル)は、触り心地の官能評価を効率的かつ再現性高く実施するための研究開発者向けアプリです。
評価語の選定からアンケート設計を支援し、得られたデータを慶應義塾大学 竹村研治郎研究室の知見を活かして多角的に分析します。
標準化が難しく専門的知見を要する官能評価を、設計から分析まで体系的に支援する新しいツールです。
感触を数値化することで、製品間の比較や改良効果の検証が明確になります。また、感覚的な表現に頼らず、物性データに基づいた設計指針を構築できるため、開発効率の向上や品質の安定化につながります。
例)
• ベンチマーク製品の触り心地を客観的に可視化できる
• 既存製品と開発製品の差異を可視化できる
• 品質管理における触感の基準値を設定できる
• 製品PRにおいて触り心地を定量的に訴求できる
• 感覚で語られていた風合いの違いをデータで説明できる
生地のやわらかさ、ドレープ性、肌触りの評価に活用され、製品コンセプトに応じた風合い設計が可能です。冷感素材や保温性インナーといった熱特性の評価でも活用されています。
塗布時ののび、なじみ、べたつき感などを評価し、処方開発や製品差別化に活かされています。また、化粧ブラシやパフといったツール類の物性評価(触り心地)にも応用されています。
内装材の質感評価により、高級感や快適性の向上を図ります。触感の違いがブランドイメージに直結する分野です。シートの肌触り、タッチパネルの冷たさ、座った時の冷感などを定量化することで、リビング空間として考えられている自動車内装材設計に付加価値を与えます。インテリア分野では、床材の温冷感や便座の接触時の冷たさ、フローリングの表面触感といった、日常的に身体が接触する部位の感覚特性が評価されています。
ティッシュや不織布製品における「やわらかさ」や「なめらかさ」の評価に活用され、使用感の向上や品質の安定化に貢献します。
これらの製品は、パルプ配合や繊維構造、加工条件の違いが触感や物性に大きく影響する素材です。新規用途の開発や高機能化を進めるうえでは、そうした変化を客観的に把握することが重要となります。感覚に頼るのではなく、明確な数値に基づく評価が、確かな製品開発を支えます。
感触・触覚試験は、主観的な「感じ方」を客観的なデータへと橋渡しする技術です。感触を見える化し、共通言語として活用することで、製品開発の精度向上とブランド価値の強化につながります。今後ますます重要性が高まる触感評価は、ものづくりにおける新たな競争力の源泉となることが想像されます。