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2025.07.10

qmaxとは? 接触冷感試験について

熱中症対策が強化されている昨今、素材の「冷たさ」評価はますます注目を浴びています。
様々なqmaxを測定する試験機が出回っておりますが、qmaxの原理原則は、KES-F7 サーモラボによって実現され、「冷たさ」を数値化できる初めての試験機として誕生しました。

今回は改めて、接触冷感やqmaxについて解説します。


接触冷感試験とqmaxについて

肌がものに触れた時に、「温かい」「冷たい」と感じる皮膚感覚を、”接触冷温感”とよびます。
肌からものへの熱の移動量によって冷温感の感じ方が異なり、それを評価する指標”qmax”(熱流量ピーク値)をKES-F7 サーモラボ、KES-QM 接触冷温感試験機で測定できます。

qmaxは、1970年代にKES®(ケス)を共同開発した京都大学の川端季雄博士が、布の接触冷感性を評価する値として定義しました。
現在では、Q-maxやQ-MAX、Qmax、QMAXなど、様々な表記方法で使用されていますが、JIS規格等で定められている正式な表記は「qmax」です。

規格について
JIS規格「繊維製品の接触冷感性評価方法」は、カトーテックの試験機(KES-F7 サーモラボ)をベースに原案されています。
中国の推奨規格「 GB/T 35263-2017 テキスタイル-接触時の冷涼感の試験と評価」や台湾の規格「CNS15687, L3272 生地の瞬間冷感試験方法」も同様です。

JIS規格「繊維製品の接触冷感性評価方法」

qmaxとKES-F7 サーモラボ
1977年に川端博士による初期熱流束最大値(qmax)と接触冷温感との相関の高さを見出しました。
そして「布の熱特性試験装置“サーモラボ”」を実用機として設計し、熱移動に関する解析を実施。
qmaxと冷温感に関する理論的解析を行いました。

その後、カトーテックと共同で現在のKES-F7 サーモラボの原型となる試験機Thermolabo-Ⅱ型を完成。
qmax、保温性、熱伝導率を測定できる試験機として、50年経過した現在でも世界中で活躍しています。

海外では、KES-F7 サーモラボの測定原理をベースとしたqmax値の自動測定が可能な、KES-QM 接触冷温感試験機も活躍しています。

長年の実績と精度の高さを強みに、これからも変わらぬ品質で信頼ある製品をお届けしてまいります。

2025.06.25

風合い計測セミナー 開催日:2025年7月23日(水) 場 所:岡山県工業技術センター 【講演会】「人の手の感覚を機械で再現するには?」@岡山県工業技術センター

岡山県工業技術センターでは、今年度よりKES(ケス)®風合い試験機を開放機器として利用できるようになりました。KES®を多くの方にご活用いただけるよう、講演会を実施します。
皆様のご参加をお待ちしております。

7月23日開催 おかやまものづくり大学『風合い計測セミナー』 

———–以下、案内文————
岡山県では、県内企業を中心としたものづくりの高度化を支援しており、その一環として、「おかやまものづくり大学」と銘打ち、講習会等を開催しております。今回は、『風合い計測セミナー』を開催しますのでご案内いたします。

近年、材料や製品の付加価値として、触り心地や着心地など、人が触れたときに感じる風合いが注目されています。岡山県工業技術センターでは、今年度より、風合い評価に役立つ『風合い数値化システム(引張り、せん断、圧縮、曲げ、表面摩擦、粗さ、通気性)』が開放機器としてお使いいただけるようになりました。

本セミナーでは、お二人の講師をお招きし、風合い計測技術やその活用事例についてご講演いただきます。繊維製品はもちろん、それ以外の評価事例についてもご紹介いただけますので、分野を問わず、今後、風合い計測を考えられている方にとって、大変興味深い内容となると思います。ぜひ多くの皆様のご参加をお待ちしております。

1 日時
 令和7(2025)年7月23日(水曜日)13時00分~16時30分

2 会場
 岡山県工業技術センター 1階技術交流室 (岡山市北区芳賀5301) ※現地開催のみ

3 開催次第
13時00分 開会

13時05分~14時35分 ご講演(1)
題目:布の風合いを測る KESでできること
講師:神戸大学大学院 人間発達環境学研究科 教授 井上 真理 氏
内容:衣服の着心地や繊維製品の触り心地に関する風合いを数値で客観的に捉えるために開発されたKES(Kawabata Evaluation System)についての解説と解析事例を紹介いたします。

14時35分~14時50分 休憩

14時50分~16時20分 ご講演(2)
題目:人の手の感覚を機械で再現するには? KES®風合い試験機のご紹介
講師:カトーテック株式会社 常務取締役 河内 敬 氏
内容:KES®風合い試験機は、1972年に京都大学の川端博士と共同開発した触り心地を数値化する技術です。「引っ張る」「曲げる」「押す」「なでる」といった人の触感動作を機械化し、繊細な感覚を定量化。素材の品質や快適性評価に貢献します。新技術QUANTITEXTURE™も併せて紹介します。

16時20分~16時25分 『風合い数値化システム』のご利用について

16時30分 閉会

4 定員
  40名(先着順)

5 参加費
  無料

6 申込方法
  「岡山県電子申請サービス」(下記URL)から、必要事項をご入力お申し込みください。

  https://apply.e-tumo.jp/pref-okayama-u/offer/offerList_detail?tempSeq=48220

7 申込締切
  令和7(2025)年7月16日(水曜日)17時

8 開催前のご確認
諸般の事情により、中止・延期となる場合もありますので、最新情報を岡山県工業技術センターWEBサイト(https://www.pref.okayama.jp/site/kougi/)で必ずご確認ください。

9 申込・問合せ先
  担当:岡山県工業技術センター 応用技術部 繊維加工科(担当:松本)
  TEL:086-286-9600
FAX:086-286-9630
E-mail:yuuko_matsumoto@okakogi.jp

2025.06.23

展示会「人とくるまのテクノロジー展 2024 YOKOHAMA」 開催日:2025年5月21日(水)~23日(金) 場 所:パシフィコ横浜 人とくるまのテクノロジー展 2025に出展しました

2025年5月21日~23日の3日間、横浜での人とくるまのテクノロジー展 2025に出展しました。
2025年8月1日販売の新製品「QUANTITEXTURE™ クオンティテクスチャー」を展示し、未来の触感評価について体感いただきました。

QUANTITEXTURE™とは?
触感評価の新たな指標「QUANTITEXTURE™ クオンティテクスチャー」は、触った時に指が感じる振動情報を周波数としてとらえ、より人の触り心地に近いデータを算出する試験機です。
カトーテックでは、触った時の摩擦を評価するKES-SESRU/SE 粗さ/摩擦感テスターと、周波数解析を行うQUANTITEXTURE™ クオンティテクスチャーの2つの『表面特性』評価法をご提案します。

プレスリリース

KES-F7 サーモラボ、KES-QM
熱中症対策が強化されている昨今、素材の「冷たさ」評価はますます注目を浴びています。
接触冷温感の評価の指標となる『qmax(キューマックス)』※を測定できる、KES-F7 サーモラボやKES-QM 接触冷温感試験機もご紹介しました。

KES-F7 サーモラボ
KES-QM 接触冷温感試験機

※qmaxは、1970年代にKES®(ケス)を共同開発した京都大学の川端季雄博士が、布の接触冷感性を評価する値として定義しました。
※現在では、Q-maxやQ-MAX、Qmax、QMAXなど、様々な表記方法で使用されていますが、JIS規格等で定められている正式な表記は「qmax」です。

James Heal
2024年より日本の公式代理店として取り扱いを開始したJames Heal製品も展示しました。
世界の規格50以上に適応している、摩耗/ピリング試験機のMartindale マーチンデールは、世界の規格50以上に適応しています。幅広い素材や試験条件に適応し、ニーズに応じた試験を実施できるため、自動車メーカーをはじめとした多様な企業において、独自の試験方法が確立されています。
James Heal

2025.06.16

新しいTool Box(ツールボックス)を製作しました

このたび、試験機の工具を収納するTool Box(ツールボックス)を新しく製作しました。

近年の原材料価格の上昇や環境問題への意識の高まりを背景に、当社ではTool Boxの仕様を見直しました。
お客様にこれからも変わらぬ品質をお届けするための一環として、脱プラスチックや軽量化にも配慮した新たな仕様を採用しました。
従来のTool Boxから改良を加え、以下の点に工夫を凝らしています。

1. 環境に配慮した素材選定
脱プラスチックの取り組みとして、Tool Box本体の素材を紙に変更しました。環境負荷を軽減しつつ、十分な強度を確保した設計となっています。

2. マルチ対応のウレタンフォーム
Tool Box内部には、自由にカット可能なウレタンフォームを採用。これにより、各試験機の工具に合わせて収納スペースを調整できるほか、工具の出し入れもしやすい構造になっています。

3. スライド式デザインの採用
出しやすさと箱の強度を考慮し、スライド式のデザインを採用しました。また、コンパクトに収納できる形状とすることで、利便性を向上させています。

これからも、より使いやすく、環境にも配慮した製品づくりに努めてまいります。

2025.06.02

【メディア】MBS毎日放送「サタデープラス」の人気コーナー「ひたすら試してランキング」で紹介されました

MBS毎日放送「サタデープラス」の人気コーナー「ひたすら試してランキング」にKES-QM 接触冷温感試験機を使用し、13種の『ひんやりインナー』を触ったときの「冷たさ」を測定しました。

接触冷温感(qmax)とは?
肌がものに触れた時に、「温かい」「冷たい」と感じる皮膚感覚を、”接触冷温感”とよびます。肌からものへの熱の移動量によって冷温感の感じ方が異なり、それを評価する指標”qmax”(熱流量ピーク値)をKES-F7 サーモラボ、KES-QM 接触冷温感試験機で測定できます。

qmaxは、1970年代にKES®(ケス)を共同開発した京都大学の川端季雄博士が、布の接触冷感性を評価する値として定義しました。
※現在では、Q-maxやQ-MAX、Qmax、QMAXなど、様々な表記方法で使用されていますが、JIS規格等で定められている正式な表記は「qmax」です。

※JIS規格「繊維製品の接触冷感性評価方法」は、カトーテックの試験機(KES-F7 サーモラボ)をベースに原案されました。
※中国の推奨規格「 GB/T 35263-2017 テキスタイル-接触時の冷涼感の試験と評価」
 台湾の規格「CNS15687, L3272 生地の瞬間冷感試験方法」も同様

川端博士は、1972年にKES®という『布の触り心地を数値化する』技術を誕生させ、カトーテックと試験機を共同開発。現在では約20のKES®シリーズ展開しています。
ニッチな分野ではありますが、「KES®」の名は業界で広く知られており、KES®は規格ではないものの、世界中の身の回りの製品における「触り心地」や品質・快適性の向上に活用されています。

2025.05.24

【メディア】サタデープラス ひたすら試してランキング「ひんやりインナー」編にKES-QMが登場します

MBS毎日放送「サタデープラス」の人気コーナー「ひたすら試してランキング」にKES-QM 接触冷温感試験機が登場します。

KES-QM 接触冷温感試験機を使用し、『ひんやりインナー』13種の触ったときの「冷たさ」を測定します。

放送日:2025年5月31日(土)午前7時59分~

サタデープラス「ひたすら試してランキング」

2025.05.19

【Press release】触感評価の新時代を切り開く、QUANTITEXTURE™販売開始

カトーテック株式会社(本社:京都府京都市、代表取締役:加藤敦子)は、指触感の「心地よさ」や「違い」を、従来の力学的特性ではなく、感覚の源である機械受容器から評価する、新技術を取り入れた試験機「QUANTITEXTURE™ クオンティテクスチャー」を、2025年8月1日より正式に販売開始いたします。

QUANTITEXTURE™は、「触感」という主観的で個人差の大きい感覚を、人の感覚に近い指標で評価できる革新的な技術です。2021年の製品発表以来、数多くのお問い合わせをいただき、満を持してのリリースです。※

※当初は2021年秋の販売を予定しておりましたが、最終段階でのデータ検証・性能向上を優先し、さらなる研究開発・改良を重ね、今回の正式販売に至りました。

一般的な「触り心地評価」とは? 現在の課題とQUANTITEXTURE™が革新的な理由
従来の「触り心地評価」は、物体や材料が力を受けたときにどのように変形・運動するかを測定します。たとえば引っ張り時の「引張り特性」、曲げ時の「曲げ特性」、なでたときの「摩擦特性」などの力学特性を測定し、素材の手触りを評価するものでした。カトーテックが製造・販売するKES®風合い試験機では、これらの力学特性に基づき、素材や材料、製品の品質や快適性、また総合的な手触り感(良し悪し)を評価することが可能です。

しかし、ガラスや樹脂などの硬質素材では、力学的な触り心地評価と実際の官能評価が一致しないケースが多く、ユーザーから課題として指摘されてきました。

QUANTITEXTURE™はこうした課題に対し、「力の測定」ではなく「人の感じ方そのもの」に着目。人がものに触れた際に反応する指の4つの機械受容器(FAⅠ、FAⅡ、SAⅠ、SAⅡ)の周波数特性を解析することで、より人の感覚に近い評価を実現します。これにより、従来は官能評価との相関を得ることが難しかった硬質素材(ガラスや樹脂、金属など)においても、触感評価を可能にしました。現在は、硬質素材だけでなく、布や不織布のような柔軟素材にも対応可能なセンサーも開発中です。

従来機からの主なリニューアル点
製品の再現性・精度をさらに高めるため、全面一新しました。

【機構】
膨大な量※かつ素材そのものだけに反応する周波数を取り込むため、外的影響を抑える機構
※1秒に対する取り込み点数は3000点

【センサー】
微細な振動を拾うため5g分銅による荷重方式を採用。高感度検出可能な極薄センサーを開発
X軸(横)とZ軸(縦)の振動を取得できる高感度センサー

【ソフトウェア】
4つの機械受容器が反応を起こした際のしきい値を見直し、複数のしきい値のパターンを選択できるようソフトを改良

「これが一番いいけど、試験機では結果が違う」を可能に
材料配合のわずかな違いによって、触り心地は大きく影響を受けます。特に硬質素材においては、人が敏感に感じ取る 繊細な差異を“数値で捉える”ことは、従来の物性試験機では困難とされてきました。

例)3つの素材の中で「C」が一番「さらさら」していると感じる

▶「さらさら」や「つるつる」といった言葉で表現される素材は、レーダーチャートの結果が小さくなる傾向にあります。
▶「ざらざら」のような凹凸感のある素材については、レーダーチャートの結果が大きくなる傾向にあります。

約10年にわたる共同研究の成果
本開発は、2016年より慶應義塾大学 竹村研治郎教授とともに進めてきた共同研究に基づいています。「官能評価と物性値が一致しない」という産業界の悩みに応えるべく、長年の実証実験を経て、QUANTITEXTURE™が誕生しました。

展示会出展情報
本製品は、2025年5月21日(水)から開催される「人とくるまのテクノロジー展2025」にて、実製品を出展します。

製品情報
製品名:QUANTITEXTURE™ Tactile01 クオンティテクスチャータクタイル01
発売日:2025年8月1日(金)
用途:材料や素材、製品の研究開発向け製品

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